
栃木県内の一戸建てにお住まいの方で、冬の寒さや夏の暑さに悩んでいる方は少なくありません。
光熱費の高騰も続く中、高気密高断熱リフォームへの関心が高まっています。しかし、実際にどれくらいの費用がかかるのか、補助金は使えるのか、具体的な情報が分からず踏み出せない方も多いでしょう。
本記事では、高気密高断熱リフォームの基本知識から、壁・天井・床・窓といった部位別の費用相場、さらに活用できる補助金制度まで詳しく解説していきます。
2025年4月からは新築住宅の省エネ基準適合が義務化されるため、既存住宅の断熱性能向上はますます重要になっています。栃木県独自の支援制度も含めて紹介しますので、実質負担額を抑えながら快適な住環境を手に入れる判断材料としてください。
高気密高断熱リフォームとは?

高気密高断熱リフォームとは、既存住宅の断熱性能と気密性能を向上させる改修工事を指します。
断熱材の追加や窓の交換、隙間の充填などを通じて、室内外の熱の移動を抑制し、快適な室温を保ちやすくする施工です。これにより冷暖房効率が上がり、光熱費削減と居住快適性の向上が同時に実現できます。
高気密と高断熱の違い
高断熱とは、壁や天井、床などに断熱材を施工し、外気の熱を室内に伝わりにくくすることを意味します。
冬は外の冷気を遮断し、夏は外の熱気を室内に入れないようにする役割があります。断熱性能は「UA値(外皮平均熱貫流率)」で評価され、数値が小さいほど熱が逃げにくい高性能な住宅といえます。
一方、高気密は建物の隙間を極力なくし、空気の出入りを抑える技術です。気密性能は「C値(相当隙間面積)」で示され、この数値が小さいほど隙間が少ないことを表します。いくら断熱材を入れても、隙間から外気が入り込んでは効果が半減してしまうのです。
高断熱と高気密は車の両輪のような関係にあり、両方を適切に施工することで初めて最大の効果を発揮します。断熱材で熱の移動を抑え、気密施工で空気の流れを制御することで、安定した室内環境が保たれます。
高気密高断熱住宅の基準としては、一般的にUA値0.87W/(m²・K)以下、C値1.0cm²/m²以下が一つの目安とされています。
栃木県のような寒暖差が大きい地域では、両方の性能をバランスよく高めることが重要です。冬の厳しい冷え込みにも、夏の蒸し暑さにも対応できる住環境を実現できるでしょう。
また、適切な気密施工は計画換気の効率も高め、室内の空気質改善にも貢献します。
高断熱高気密住宅の定義
高断熱高気密住宅の定義は、国が定める省エネルギー基準によって明確化されています。
現行の省エネ基準では、住宅の断熱性能を「断熱等性能等級」という指標で評価しており、等級は1から7まで設定されています。このうち等級4が、2025年4月以降すべての新築住宅に義務化される最低基準となります。
等級4の基準値は地域区分によって異なり、栃木県の大部分が属する5地域ではUA値0.87W/(m²・K)以下が求められます。これは1999年に制定された「次世代省エネ基準」に相当する性能です。さらに上位の等級5はZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準、等級6・7はより高い断熱性能を示します。
2025年4月からの省エネ基準適合義務化により、新築住宅は最低でも等級4を満たす必要があります。一方、既存住宅にはこの義務はありませんが、築年数が古い住宅ほど断熱性能が低い傾向にあるのが実情です。1980年以前に建てられた住宅には断熱材がほとんど入っていないケースも珍しくありません。
国土交通省の「省エネ住宅」サイトでは、最新の省エネ基準や支援制度の情報が公開されています。古い住宅にお住まいの場合、現在の基準と比較すると大きな性能差があるため、高気密高断熱リフォームを検討する価値は十分にあるでしょう。
光熱費削減効果だけでなく、ヒートショックのリスク低減や結露・カビの防止といった健康面でのメリットも期待できます。
断熱等性能等級に関しては以下記事でも詳しく解説しているので合わせてご覧ください。
▶関連記事:断熱等級とは?4・5・6・7の違いや調べ方、メリット・デメリットを解説
高気密高断熱リフォームのメリットを解説!

高気密高断熱リフォームには、快適性向上と経済性の両面で大きなメリットがあります。
まず最も実感しやすいのが、室内温度の安定化です。断熱性能が向上すると、冬は暖房で温めた空気が逃げにくくなり、夏は外の熱気が侵入しにくくなります。
その結果、冷暖房効率が飛躍的に向上し、光熱費の大幅な削減が可能になります。一般的な住宅では冷暖房費が光熱費の約40%を占めるため、断熱性能の改善は家計への直接的な貢献となるでしょう。実際の削減額は住宅規模や使用状況によりますが、年間数万円から十万円以上の節約になるケースも珍しくありません。
健康面でのメリットも見逃せないポイントです。高断熱住宅では部屋間の温度差が小さくなるため、冬場のヒートショックリスクが低減されます。特に高齢者のいる家庭では、安全性の向上という重要な意義があります。
また、結露の発生を抑制できるため、カビやダニの繁殖を防ぎ、アレルギー症状の改善にもつながるのです。
断熱リフォームの相場の費用はいくら?

断熱リフォームの費用相場は施工内容や住宅規模によって大きく異なりますが、一般的な目安を把握しておくことが計画立案の第一歩となります。
まず、部分的な断熱リフォームの場合、最も手軽な内窓設置は1窓あたり約5万円から15万円程度です。施工が比較的簡単で工期も短いため、初めての断熱リフォームとして選ばれることが多い方法といえます。
床下断熱は施工面積によって費用が変動し、一般的な30坪程度の住宅で約50万円から120万円が相場です。天井や屋根の断熱は、天井裏に断熱材を吹き込む方法で約40万円から80万円、屋根全体を改修する場合は100万円を超えることもあります。
壁の断熱リフォームは最も大がかりな工事となり、外壁側から断熱材を施工する場合は200万円から400万円程度が目安です。全面的な断熱リフォームを行う場合、一般的な住宅で合計300万円から600万円程度を見込む必要があるでしょう。
ただし、補助金を活用することで実質負担額を大幅に減らせる可能性があります。
費用に関しては以下の記事でも詳しく解説しています。
▶関連記事:宇都宮で一戸建てフルリフォーム費用の相場は?内訳や費用を抑える3つのポイントを徹底解説!
高気密高断熱リフォームの費用内訳もご紹介!

高気密高断熱リフォームの具体的な費用を把握するには、部位ごとの施工内容と相場を理解することが重要です。
ここでは主要な施工箇所について、実施する工事内容と費用目安、さらに施工期間を詳しく解説していきます。
壁断熱
壁断熱リフォームは、外壁側または内壁側から断熱材を施工する方法があります。
外張り断熱工法では、既存の外壁の上から断熱材を張り付け、その上に新しい外装材を施工します。充填断熱工法は、壁の内部(柱と柱の間)に断熱材を詰め込む施工方法になります。
費用相場は施工方法によって大きく異なり、外張り断熱の場合は1平方メートルあたり約2万円から4万円程度かかります。充填断熱の場合は1平方メートルあたり約1万円から2.5万円が目安となるでしょう。一般的な30坪の住宅で外壁全面を断熱する場合、総額で150万円から400万円程度の幅が生じます。
施工期間は工法と住宅規模によって異なりますが、外張り断熱の場合は足場設置を含めて2週間から1ヶ月程度を要します。内壁側から施工する場合は部屋ごとに進められるため、全体で1週間から2週間程度で完了することが多いでしょう。
天井・屋根断熱
天井・屋根断熱は、夏の暑さ対策に特に効果的な施工です。
天井断熱は、天井裏に断熱材を敷き詰めたり吹き込んだりする方法で、比較的施工が容易で費用も抑えられます。屋根断熱は、屋根の勾配に沿って断熱材を施工する方法になります。
費用相場は、天井断熱の場合で1平方メートルあたり約4,000円から8,000円程度です。30坪の住宅では天井面積が約100平方メートルとなるため、総額40万円から80万円が目安となります。屋根断熱の費用は1平方メートルあたり約8,000円から1.5万円程度で、屋根全体では100万円から200万円程度かかるケースもあります。
施工期間は天井断熱で1日から3日程度、屋根断熱で1週間から2週間程度が一般的です。
床下断熱
床下断熱は、冬場の足元の冷えを大幅に改善できる施工です。
床下に潜って断熱材を床板の裏側に施工する方法と、既存の床を剥がして根太の間に断熱材を充填する方法があります。前者は床を剥がす必要がないため、居住しながらの施工が可能で工期も短く済みます。
費用相場は、床下から施工する場合で1平方メートルあたり約4,000円から8,000円程度となります。30坪の住宅で床面積が約100平方メートルとすると、総額40万円から80万円が目安です。床を剥がして施工する場合は、1平方メートルあたり約1万円から1.5万円、総額で100万円から150万円程度になるでしょう。
施工期間は床下からの施工で2日から5日程度、床を剥がす場合は1週間から2週間程度を要します。
床下の断熱については以下記事でも詳しく解説しています。
▶関連記事:床下の断熱と床下の除湿対策
窓・サッシ
窓・サッシの断熱改修は、最も効果的かつ手軽に始められる断熱リフォームです。
住宅の熱損失の約30%は窓から発生するといわれており、窓の性能向上は断熱効果が高いのが特徴になります。主な工法として、既存窓の内側に樹脂製の内窓を追加する二重窓化、既存サッシごと交換するカバー工法、ガラスのみを複層ガラスに交換する方法があります。
内窓設置は最も人気の高い工法で、費用は窓のサイズによって異なりますが、腰高窓で約5万円から8万円、掃き出し窓で約8万円から15万円が相場となります。カバー工法によるサッシ交換は、腰高窓で約15万円から25万円、掃き出し窓で約25万円から40万円程度です。ガラス交換は1枚あたり約3万円から10万円程度で、施工も半日から1日で完了します。
施工期間の目安として、住宅全体の窓を内窓化する場合は10窓程度で3日から5日程度です。
窓・サッシのリフォームについては以下の記事でも詳しく解説しているので合わせてご覧ください。
▶関連記事:お悩み解決!これで快適!内窓リフォームで断熱・防音が効果を発揮します
スケルトン気密
スケルトン気密は、建物の骨組み状態まで解体し、気密層を構造躯体に直接施工する方法です。
この工法は大規模リフォームや全面改修の際に採用され、通常のリフォームでは実現できない高い気密性能を確保できます。
費用相場は住宅規模や既存構造の状態によって大きく変動しますが、30坪程度の住宅でスケルトンリフォームを行う場合、総額1,500万円から2,500万円程度が目安となります。施工期間は解体から完成まで3ヶ月から6ヶ月程度を要し、その間は仮住まいが必要になります。
費用は高額ですが、築年数が古く構造的な不安がある住宅では検討する価値があるでしょう。
高気密高断熱リフォームに活用できる補助金制度は?

高気密高断熱リフォームには複数の補助金制度が用意されており、上手に活用することで実質負担額を大幅に減らせます。
国の制度から栃木県独自の支援まで、利用可能な補助金を把握しておくことが重要です。
※内容は更新されている可能性があるので、必ず公式サイトをご覧ください。
先進的窓リノベ2025事業
先進的窓リノベ2025事業は、環境省が実施する窓の断熱改修に特化した補助金制度です。
内窓設置やカバー工法によるサッシ交換、ガラス交換といった工事が補助対象となり、高い補助率が設定されているのが特徴です。補助額は窓の大きさと性能によって細かく設定され、大サイズの窓1箇所あたり最大13万4,000円の補助が受けられます。1戸あたりの補助上限額は200万円です。
詳細は先進的窓リノベ公式サイトで確認できます。
子育てグリーン住宅支援事業(Sタイプ)
子育てグリーン住宅支援事業は、子育て世帯や若者夫婦世帯が省エネ性能の高い住宅を取得したり、リフォームを行ったりする際に支援する制度です。
窓や壁、天井、床などの開口部や躯体の断熱改修が補助対象工事となります。子育て世帯または若者夫婦世帯が自ら居住する住宅をリフォームする場合、1戸あたり最大60万円の補助が受けられます。
詳細は子育てグリーン住宅支援事業公式サイトをご確認ください。
既存住宅の断熱リフォーム支援事業
既存住宅の断熱リフォーム支援事業は、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が執行する国の補助金制度です。
高性能な断熱材や窓を用いた断熱改修を支援することで、既存住宅の省エネ性能向上を図ることを目的としています。
補助額は戸建住宅の場合、1戸あたり上限120万円です。補助率は工事費用の3分の1以内となっており、断熱改修に係る材料費と工事費が補助対象経費となります。
詳しい要件は公式サイトで確認できます。
その他、栃木県独自の補助金制度
栃木県内では、県や各市町村が独自の住宅リフォーム補助金制度を設けています。
以下は断熱リフォームに活用できる主な制度です。
| 自治体 | 制度名 | 補助内容 | 補助上限額 |
| 栃木県 | 栃木県住宅リフォーム補助金 | 県内施工業者による断熱改修等の費用を補助 | 工事費の10%
(上限10万円) |
| 宇都宮市 | 住宅改修補助金 | 市内施工業者による省エネ改修を含むリフォーム費用を補助 | 工事費の10%
(上限20万円) |
| 栃木市 | 住宅リフォーム補助金 | 市内施工業者による断熱改修等の費用を補助 | 工事費の10%
(上限10万円) |
| 小山市 | 住宅リフォーム支援事業 | 市内施工業者による省エネ改修費用を補助 | 工事費の10%
(上限10万円) |
多くの市町村では、地域経済活性化の観点から市内または県内の施工業者を利用することが補助条件となっています。
これらの地域独自制度は、国の補助金との併用が認められているケースもあり、効果的に活用することで実質負担をさらに軽減できるでしょう。
以下の記事でも最新の補助金について詳しく解説しているのでご覧ください。
▶関連記事:リフォームがお得になる補助金制度
補助金以外に高気密高断熱リフォーム費用を抑える方法を詳しく紹介!

補助金の活用以外にも、高気密高断熱リフォームの費用を抑える方法は複数あります。
計画の立て方や工法の選択、タイミングの見極めなど、工夫次第で大きな節約が可能です。
優先順位の高い部分から段階的に施工する
全ての部位を一度に改修する必要はなく、効果の高い部分から段階的に施工することで初期費用を抑えられます。
一般的に熱損失が最も大きいのは窓で、住宅全体の約30%を占めています。次いで外壁が約20%、屋根・天井が約15%、床が約10%程度となっており、この順序で優先度を判断するのが基本です。
まずは窓の断熱改修から始めることで、比較的少ない投資で効果を実感できます。段階的施工のメリットは、補助金を複数年にわたって活用できる点です。
計画的に分割することで、補助金を最大限活用できるでしょう。
低コストの工法を活用する
断熱工法には様々な種類があり、同じ部位でも施工方法によって費用が大きく異なります。
たとえば天井断熱では、天井裏に断熱材を敷き詰める方法と吹き込み工法があり、後者は施工が簡単で費用も抑えられます。吹き込み工法ではセルロースファイバーやグラスウールを専用機械で天井裏に吹き込むため、複雑な形状にも対応でき、隙間のない施工が可能です。
床断熱では、床を剥がさずに床下から施工する方法が最も低コストとなります。床下空間に十分な高さがあれば、既存の床をそのまま活用でき、居住しながらの施工も可能です。使用する断熱材の選択も費用に影響します。グラスウールやロックウールは比較的安価で、十分な厚さを確保すれば高い断熱性能が得られます。
予算と求める性能のバランスを考えて、最適な材料と工法を選ぶことが費用削減のポイントとなるでしょう。
リフォームor建て替えか判断する
住宅の状態によっては、リフォームよりも建て替えの方が結果的にコストパフォーマンスが良い場合があります。
建て替えを検討すべき主なケースとして、まず築40年以上経過し構造体の劣化が著しい場合が挙げられます。土台や柱の腐朽が進んでいると、断熱改修前に大規模な構造補強が必要となり、費用が膨らむのです。
耐震性能が著しく低い住宅も、建て替えを検討すべきケースに該当します。旧耐震基準(1981年以前)で建てられた住宅で、耐震診断の結果が低い評価となった場合、耐震改修と断熱改修を合わせると新築並みの費用がかかる可能性があります。間取りの大幅な変更を希望する場合も、建て替えの方が自由度が高く満足度も向上するでしょう。
設備や内装の老朽化が全体的に進んでいる場合、各種工事を別々に行うよりも、建て替えで一度にすべてを新しくする方が、トータルコストを抑えられる可能性があります。
リフォーム減税制度を利用する
補助金とは別に、税制面でも高気密高断熱リフォームを支援する制度が用意されています。
住宅ローン減税では、省エネ改修工事を含むリフォームで住宅ローンを利用した場合、年末のローン残高に応じて所得税が控除されます。控除期間は10年間で、年間の控除限度額は最大21万円(令和6年入居の場合)となっており、10年間で最大210万円の減税効果が得られる仕組みです。
ローンを利用しない場合でも、リフォーム減税(投資型減税)が活用できます。省エネ改修工事を行った場合、標準的な工事費用相当額の10%が所得税から控除される制度です。控除限度額は最大62.5万円となっており、工事完了年の所得税から一括で控除されます。
固定資産税の減額措置も見逃せません。一定の省エネ改修工事を行った場合、翌年度分の固定資産税が3分の1減額される制度があります。減額期間は1年間ですが、固定資産税は毎年発生する税金のため、実質的な負担軽減効果があるでしょう。
詳細な要件や手続きについては、国土交通省のホームページで確認できます。
減税制度は補助金と併用可能なケースも多いため、両方を組み合わせることで実質負担を大幅に減らせるでしょう。
宇都宮で高気密高断熱リフォームなら「住まいる工務店」へ!

高気密高断熱リフォームは、快適な住環境の実現と光熱費削減を両立できる効果的な投資です。栃木県にお住まいの方は、国の制度に加えて県や市町村独自の補助金も組み合わせることで、さらにお得にリフォームを実現できるでしょう。
「住まいる工務店」は、栃木県宇都宮市を中心に地域密着で住宅リフォームを手がける専門業者です。断熱リフォームはもちろん、耐震改修やバリアフリー化まで、住まいの総合的な性能向上をサポートしています。
豊富な施工実績と確かな技術力で、お客様一人ひとりの住まいに最適な提案を行います。補助金申請のサポートも充実しており、複雑な手続きもしてくれるので制度など詳しいことがわからなくても安心です。
無料相談も受け付けておりますので、宇都宮市で高気密高断熱リフォームをご検討の際は、ぜひ住まいる工務店へぜひ相談してみてください。















