住宅の断熱性能を高めることは、快適な暮らしと省エネルギーの両立に欠かせません。しかし、断熱リフォームは適切な知識や計画なしに進めると、思わぬ失敗を招くことがあります。
この記事では、断熱リフォームを検討している方に向けて、よくある失敗例とその対策、さらに失敗しないためのポイントを詳しく解説します。
断熱リフォームとは?リフォームを行うメリットも解説!
断熱リフォームを始める前に、まずはその基本的な概念とメリットについて理解しておきましょう。なぜ多くの方が断熱リフォームを選択するのか、その理由を探ってみましょう。
断熱リフォームとは?
断熱リフォームとは、既存の住宅に断熱材を追加したり、高性能な窓に交換したりすることで、住宅の断熱性能を向上させる工事のことです。具体的には、壁や床、天井などに断熱材を入れたり、窓を二重サッシや複層ガラスに変更したりします。これにより、外気温の影響を受けにくい住宅環境を作り出すことができます。
断熱リフォームは、新築時に十分な断熱対策がされていない古い住宅や、断熱性能が時代の要求に追いついていない住宅において特に効果的です。日本の住宅は欧米諸国と比較して断熱性能が低いことが多く、多くの住宅で断熱リフォームの余地があるとされています。断熱リフォームは部分的に行うこともできますが、家全体の断熱バランスを考えた総合的なアプローチが効果的です。
特に熱の出入りが多い窓や、熱が逃げやすい屋根・天井部分は重点的に対策することで効果が高まります。
断熱リフォームを行うメリット
断熱リフォームには多くのメリットがあります。まず最も実感しやすいのは、室内の快適性が向上することです。夏は涼しく、冬は暖かい室内環境を維持できるようになります。特に冬場の「底冷え」や「ヒートショック」のリスクを軽減できるため、健康面でも大きなメリットがあります。
次に、省エネルギー効果が挙げられます。断熱性能が向上すると、冷暖房の効きが良くなり、エネルギー消費を抑えることができます。結果として、電気代やガス代などの光熱費の削減につながります。長期的に見れば、リフォーム費用を光熱費の節約で回収できる可能性もあります。
また、結露の発生を抑えられることも重要なメリットです。結露が減ることでカビやダニの発生を抑制し、アレルギー症状の軽減や住宅の耐久性向上にも貢献します。結露による壁紙の剥がれや木材の腐食を防ぐことで、住宅の寿命を延ばす効果も期待できます。
さらに、断熱リフォームは住宅の資産価値向上にもつながります。省エネ性能が高い住宅は、不動産市場での評価も高くなる傾向にあります。
断熱リフォームでの失敗例とその対策を紹介!
断熱リフォームは多くのメリットがある一方で、適切な知識や計画なしに進めると思わぬ失敗を招くことがあります。ここでは、よくある7つの失敗例とその対策方法を見ていきましょう。
①床の底冷えがつらい
床の断熱対策が不十分だと、せっかく断熱リフォームをしても床からの冷気で底冷えを感じてしまうことがあります。特に床下空間がある住宅では、床からの熱損失が大きいため注意が必要です。床の断熱が不十分だと、室内の暖かい空気が上昇する一方で床付近は冷たいままという状況が生じ、足元の寒さを強く感じることになります。
この問題の対策としては、床下断熱を適切に施工することが重要です。床下に断熱材を敷き詰めたり、床下空間に断熱材を吹き付けたりする方法があります。また、床暖房の導入も効果的な対策の一つです。床暖房は足元から均一に部屋を暖めるため、快適な室内環境を作り出せます。
床下断熱を行う際は、湿気対策も同時に考慮することが大切です。床下の湿気が断熱材の性能を低下させる原因になるため、適切な防湿シートの設置や床下換気の確保も忘れないようにしましょう。
②夏場に熱がこもり暑くなった
断熱対策を冬の寒さ対策としてのみ考え、夏の暑さ対策を軽視してしまうケースがあります。断熱性を高めると室内の熱が外に逃げにくくなるため、夏場は日中の熱が室内にこもりやすくなります。特に西日が強く当たる部屋や、屋根からの熱が伝わりやすい2階部分などでは、断熱リフォーム後に夏の暑さが増すことがあります。
この問題の対策としては、断熱と遮熱を組み合わせることが重要です。遮熱とは、外からの熱の侵入を防ぐ対策のことで、具体的には遮熱塗料の使用や遮熱フィルムの貼付、日よけやすだれの設置などがあります。特に屋根や西側の壁面には遮熱対策を重点的に行うことで効果が高まります。
また、適切な換気システムの導入も重要です。計画的な換気を行うことで、室内にこもった熱を効率よく排出することができます。夜間の冷気を室内に取り込む「ナイトパージ」と呼ばれる方法も効果的です。
③部分的な断熱リフォームで家の中の温度差が大きくなった
断熱リフォームを部分的にのみ行うと、リフォームした場所とそうでない場所の温度差が大きくなることがあります。例えば、リビングだけ断熱性を高めても、廊下や浴室などは従来通りの断熱性能のままであれば、部屋の移動時に急激な温度変化を感じることになります。これはヒートショックのリスクを高める原因にもなります。
この問題の対策としては、家全体のバランスを考えた断熱計画を立てることが重要です。一度に全ての場所をリフォームすることが難しい場合は、優先順位をつけて段階的に進めていくことも一つの方法です。その際は、生活動線を考慮して、よく使う部屋同士の温度差が極端にならないよう計画しましょう。
特に注意したいのは、浴室や脱衣所などの水回りです。これらの場所は温度差によるヒートショックのリスクが高いため、優先的に断熱対策を行うことをおすすめします。断熱性の高いユニットバスへの交換や、脱衣所への暖房設備の設置なども検討しましょう。
④結露やカビが軽減しない
断熱リフォームを行っても、換気対策が不十分だと結露やカビの問題が解決しないことがあります。断熱性が高まると室内の温度は上がりますが、湿度コントロールが適切でないと、かえって結露のリスクが高まることもあります。特に気密性が高まったにもかかわらず、適切な換気が行われていないケースでは注意が必要です。
この問題の対策としては、断熱リフォームと同時に適切な換気システムを導入することが重要です。24時間換気システムや熱交換型換気システム(第一種換気)の導入は、室内の湿度コントロールに効果的です。また、結露が発生しやすい窓については、内窓の設置や断熱性の高い窓への交換を検討しましょう。
湿気の発生源である洗濯物の室内干しや調理などの生活習慣の見直しも重要です。また、除湿器の活用や、結露が発生しやすい時期の換気の徹底なども効果的な対策となります。
⑤内窓の開け閉めや掃除が大変になった
断熱対策として内窓(二重窓)を設置すると、窓の開け閉めや掃除が煩雑になることがあります。特に既存の窓と内窓の間隔が狭いと、窓の操作性が悪くなったり、窓の間の掃除が困難になったりします。また、内窓の取り付け位置や開閉方向が適切でないと、カーテンの開け閉めにも支障をきたすことがあります。
この問題の対策としては、内窓の選定時に使い勝手を十分考慮することが重要です。既存の窓との間隔を適切に確保し、開閉方向も既存の窓と調和するよう計画しましょう。また、掃除のしやすさを考えて、内窓が簡単に取り外せるタイプを選ぶことも一つの方法です。
内窓ではなく、既存の窓を断熱性能の高いものに交換するという選択肢もあります。最初のコストは高くなりがちですが、使い勝手は従来通りで掃除も楽になるため、長期的な視点では満足度が高いかもしれません。
⑥壁紙やフローリングが張り替えたばかりだった
断熱リフォームの計画が不十分だと、直前に壁紙やフローリングを張り替えたばかりなのに、断熱工事のために再び張り替える必要が生じることがあります。特に壁の内側に断熱材を入れる工事では、壁紙の剥がしや壁の解体が必要になることがあります。また、床下断熱を行う場合もフローリングの撤去が必要になることがあります。
この問題の対策としては、住宅のリフォーム計画を総合的に考えることが重要です。内装リフォームと断熱リフォームを同時に行うか、断熱リフォームを先に行ってから内装リフォームを行うといった順序を考慮しましょう。リフォーム計画は5年、10年といった長期的な視点で立てることをおすすめします。
また、壁を解体せずに断熱改修ができる外張り断熱工法や、床下から断熱材を充填する工法など、内装への影響が少ない断熱工法の選択も検討する価値があります。
⑦補助金を活用できなかった
断熱リフォームには様々な補助金制度がありますが、申請のタイミングや条件を満たしていないために利用できなかったというケースもあります。補助金の多くは予算枠に限りがあり、申請が殺到すると早期に締め切られることもあります。また、工事内容や使用する断熱材、施工業者の条件など、細かい要件を満たす必要がある場合もあります。
この問題の対策としては、断熱リフォームを計画する段階から、利用可能な補助金制度について調査し、申請条件や申請時期を確認しておくことが重要です。自治体によっては独自の補助金制度を設けていることもあるため、国の制度だけでなく地域の制度も確認しましょう。
また、補助金の申請手続きは複雑な場合もあるため、申請のサポートを行ってくれる施工業者を選ぶことも一つの方法です。株式会社住まいる工務店では、補助金申請のサポートも行っており、お客様の負担を軽減しています。
断熱リフォームで失敗しないための3つのポイント
これまで見てきた失敗例を踏まえ、断熱リフォームで失敗しないための重要なポイントを3つ紹介します。これらを押さえることで、より効果的で満足度の高い断熱リフォームを実現できるでしょう。
①熱が出入りする隙間を極力少なくする
断熱リフォームの効果を最大限に発揮するためには、熱の出入りが起こる隙間を極力少なくすることが重要です。断熱材を入れても、隙間があれば熱はそこから逃げていきます。特に窓や扉の周り、配管の貫通部、コンセントボックスの周りなどは隙間が生じやすい箇所です。
隙間対策としては、気密テープや気密パッキンの使用、シーリング材による隙間の充填などがあります。特に古い住宅では、築年数の経過とともに隙間が増えている可能性があるため、丁寧な調査と対策が必要です。また、断熱材の選定と施工方法も重要です。
②断熱リフォームと換気をセットで考える
断熱性を高めると同時に、適切な換気計画を立てることが重要です。断熱性と気密性が向上した住宅では、換気が不十分だと室内の湿気がこもりやすくなり、結露やカビの原因となります。また、室内の空気質の悪化にもつながる可能性があります。
換気対策としては、24時間換気システムの導入が基本です。特に熱交換型の第一種換気システムは、室内の熱を逃がさずに換気ができるため、断熱リフォームとの相性が良いと言えます。また、浴室や台所など湿気の発生源となる場所には、局所換気扇の設置も重要です。
換気システムを導入した後は、適切な運用も重要です。フィルターの定期的な清掃や、季節に応じた換気量の調整など、メンテナンスを怠らないことが大切です。断熱リフォームと換気は表裏一体の関係にあると言えます。両方をバランスよく計画することで、快適で健康的な住環境を実現できるでしょう。
③日差し対策をする
断熱性を高めることで冬の寒さ対策はできますが、夏の暑さ対策としては日差しをコントロールすることも重要です。特に西日が強く当たる部屋や、日当たりの良い南向きの部屋では、断熱リフォームと併せて日差し対策を行うことで、年間を通じて快適な室内環境を実現できます。
日差し対策としては、外付けのブラインドやすだれ、庇の設置などが効果的です。外側で日差しをカットすることで、熱が室内に入ってくる前に遮ることができます。また、窓ガラスに遮熱フィルムを貼ったり、遮熱性能の高い窓に交換したりする方法もあります。
植栽による日差し対策も自然な方法として注目されています。落葉樹を南側に植えると、夏は葉で日差しを遮り、冬は葉が落ちて日差しを取り込むという季節に応じた調整が可能になります。日差し対策は、エアコンの使用頻度を減らし、省エネにもつながります。
断熱リフォームと組み合わせることで、その効果はさらに高まるでしょう。
宇都宮市で断熱リフォームを行う際に使える補助金制度4選
断熱リフォームを行う際には、さまざまな補助金制度を活用することで、経済的な負担を軽減できます。ここでは、特におすすめの補助金制度を4つ紹介します。
既存住宅における断熱リフォーム支援事業
既存住宅における断熱リフォーム支援事業は、既存住宅の省エネ性能を向上させるリフォームに対して補助金を交付する制度です。窓の断熱改修や壁・天井・床の断熱改修などが対象となります。補助額は、改修内容や省エネ性能の向上度合いによって異なりますが、最大で数十万円の補助を受けられる可能性があります。
この制度を利用するためには、一定の省エネ性能基準を満たす必要があります。また、登録された事業者による施工が条件となる場合もあります。申請は原則として工事着工前に行う必要があるため、計画段階からの準備が重要です。
予算枠には限りがあり、株式会社住まいる工務店ではこの制度に関する最新情報の提供や申請のサポートも行っています。
先進的窓リノベ2025事業
先進的窓リノベ2025事業は、高断熱な窓への交換や内窓の設置などの窓の断熱改修を支援する制度です。窓は住宅の熱損失の大きな原因となる部位であり、その断熱改修は効果が高いことから、特化した支援制度が設けられています。
補助額は、改修する窓の大きさや種類、断熱性能によって異なりますが、1戸あたり数万円から数十万円の補助を受けられる可能性があります。複数の窓を同時に改修することで、より高額の補助を受けられる場合もあります。
この制度を利用するためには、一定の断熱性能(熱貫流率)を持つ窓に交換することが条件となります。また、登録された事業者による施工が必要なケースもあります。窓の交換を検討している方は、この制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
次世代省エネ建材の実証支援事
次世代省エネ建材の実証支援事業は、新たに開発された高性能な省エネ建材の普及を促進するための制度です。従来の断熱材よりも高い性能を持つ次世代の断熱材や、遮熱性能に優れた建材などが対象となります。
この制度の特徴は、最新の技術を活用した建材を使用することで、より高い省エネ効果を得られる可能性があることです。補助額は使用する建材の種類や量によって異なりますが、一定の条件を満たすことで相応の補助を受けられます。
ただし、この制度は実証事業という性質上、対象となる建材や申請条件が限定的である場合があります。最新の技術に興味がある方や、より高い省エネ性能を求める方は、検討してみる価値があるでしょう。
子育てグリーン住宅支援事業
子育てグリーン住宅支援事業は、子育て世帯や若者夫婦世帯を対象に、省エネ性能の高い住宅の新築や断熱リフォームを支援する制度です。子どもの健康や将来の環境への配慮から、若い世代の省エネ住宅への移行を促進することを目的としています。この制度の対象となるのは、18歳未満の子どもがいる世帯や、夫婦のいずれかが39歳以下の若者夫婦世帯などです。
補助額は工事内容によって異なりますが、一定の条件を満たすことで相応の補助を受けられます。
断熱リフォームに加えて、太陽光発電システムの設置や省エネ設備の導入なども補助対象となる場合があります。子育て中の家庭や新婚世帯で住宅の断熱改修を考えている方は、この制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
補助金について詳しく知りたいはこちらの記事を参考にしてください。
2025年リフォーム補助金はいつから?補助金を活用するメリットや準備を解説
宇都宮市の断熱リフォームの施工事例をご紹介!
株式会社住まいる工務店では、多くの断熱リフォーム実績があります。ここでは、実際の施工事例をいくつか紹介します。
洋室内装及び内窓設置リフォーム(宇都宮市)
一部壁のクロスをアクセント貼りにし、窓の断熱・防音対策として内窓を設置したリフォーム事例です。お子様が選んだピンクのアクセントクロスが特徴的な可愛らしい仕上がりになっています。通常の単板ガラスのサッシに内窓を追加することで、断熱性と防音性を大幅に向上させました。
施工期間は約7日間で、将来的な子供部屋としての使用を見据えた計画的なリフォームとなっています。内窓の設置によって冬場の寒さ対策はもちろん、外部からの騒音も軽減され、快適な室内環境が実現しました。
もっと詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
断熱・防音効果!洋室内装及び内窓設置リフォーム
出窓からシャッター付きの断熱性に優れた複層ガラス窓への交換(宇都宮市)
小庇と壁の取り合い部分からの雨漏れを心配されていたお客様のために、既存の出窓を撤去してシャッター付きの複層ガラスサッシに交換したリフォーム事例です。シングルガラスでは寒さ対策が不十分だったため、断熱性に優れた複層ガラスを採用し、セキュリティ面も考慮してシャッターを設置しました。
工事期間は約20日間、概算費用は約100万円(税込)でした。既存の壁をできるだけ壊さないように窓を特注サイズで発注し、お客様の希望で稼働式の棚も設置しました。シャッター設置後は外壁塗装も行い、見た目もスッキリとした仕上がりになっています。
これらの事例からも分かるように、適切な断熱リフォームを行うことで、住宅の快適性は大きく向上します。お客様一人ひとりの住宅環境や生活スタイルに合わせた最適な断熱リフォームを提案することが、株式会社住まいる工務店の強みです。
もっと詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
雨漏れ・断熱対策で出窓をシャッター付きの窓に交換しました。
宇都宮市の断熱リフォームなら株式会社住まいる工務店へ
株式会社住まいる工務店は、断熱リフォームの専門知識と豊富な施工実績を持つ信頼できるパートナーです。一人ひとりの住まいの状況や生活スタイルに合わせた最適な断熱計画をご提案いたします。
断熱診断による現状分析から施工後のアフターフォローまで一貫してサポートし、各種補助金制度の申請サポートも行っています。無料の現地調査や断熱診断も実施していますので、快適で省エネな住まいづくりをお考えの方や断熱リフォームのことなら、ぜひ住まいる工務店にお問い合わせください。