前回の投稿で2050年カーボンニュートラルに向けて住宅の省エネ化が進むという説明をしましたが、国が強く推し進めているのがZEH住宅の普及です。2030年度以降に新築される住宅には、ZEHレベルの省エネ性能の確保を目指すという政府目標が設定され、近い将来、住宅を購入するならZEHが当たり前という時代がやってきます。これからの住宅のトレンド、ZEHについてご紹介します。
ZEH:Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、年間の一次エネルギー消費量の収支を正味(ネット)でゼロ以下にする住宅のことを言います。「断熱」「省エネ」「創エネ」の三本柱で、年間を通じて「消費するエネルギー≦創り出すエネルギー」を実現します。
出典:ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について – 省エネ住宅
室内の暖まった(冷えた)空気を外に逃さないようにすることで、冷暖房にかかるエネルギーを低く抑えることができる「断熱」、エアコンや給湯器などの設備や照明を省エネ型の機器にすることで消費するエネルギーを抑える「省エネ」、太陽光発電や地熱発電などを用いて自らエネルギーを創り出す「創エネ」を組み合わせます。
家庭内のエネルギーの使用状況を確認、一元管理できるホームエネルギーマネジメントシステム(HEMSヘムス)や、夜間でも再生エネルギーを活用できる蓄電システム、電気自動車への充電設備など、更にエネルギー効率を高める機器の導入も進んでいます。
ZEH住宅のメリット
(1)経済性
高い断熱性能や高効率設備の利用により、月々のエネルギー消費量が少なくなる分、光熱費を安く抑えることができます。今後予測される電気代等の値上がりによる光熱費の上昇も少なくすみます。さらに、売電を行った場合には収入も得ることができます。
(2)快適・健康性
高断熱の家は、室温を一定に保ちやすいので、夏は涼しく、冬は暖かい、快適な生活が送れます。効率的に家全体を暖められるので、部屋間の温度差が小さく、冬場のヒートショックによる心筋梗塞等の事故を防ぐ効果もあります。お風呂やトイレが寒くて億劫だといった日々の小さなストレスが解消される他、高血圧症の防止、循環器疾患の予防、熱中症の予防、身体活動の活性化等住まい手の健康づくりに繋がります。
(3)レジリエンス(強靭性・回復力)
台風や地震等、災害の発生に伴う停電時においても、晴れた日中は太陽光発電設備で電力確保が可能です。蓄電池を導入することでより安全で安心な生活を送ることが可能です。災害からの回復、非常時でも普段の生活に近い暮らしが続けられます。
ZEH住宅のデメリット
ZEH住宅では断熱効果の高い素材を使用したり、太陽光発電を設置したりするため、建築コストが従来より150~200万程度高くなると言われています(設備投資のグレードや家の大きさによって変わります)。省エネ性能が優れた冷暖房設備や給湯器、LED照明などを導入する必要があるため、これらの費用も合わせると一般の住宅よりどうしても高くなってしまいます。
ただ、建築費用がかかってもその分光熱費等ランニングコストで節約できるので、長い目で見れば初期費用のコストを回収できます。一般の住宅に比べ資産価値が残りやすいとも言われているため大きなデメリットとは言い切れません。
その他のデメリットとして、太陽光のメンテナンスやメンテナンスコストが必要な点、断熱性・気密性の基準を満たすために間取りに制約がでる可能性がある点は頭に入れておきましょう。
デメリットは上記の記述にも述べた通りコストが従来より高くなりますが、今は国が推し進めている3省連携の補助金制度があります!!この補助金を活用し将来を見据えて是非ZEH基準のリフォームを検討しましょう!